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【ザイム真理教】日本が30年間成長できなかった原因とは?


日本経済はバブル崩壊後、約30年間も低迷し続けていてる状態。

 

なぜ、一時はジャパン・アズ・ナンバーワンと言われた日本経済がここまで低迷しているのでしょうか。

 

少子高齢化したから経済が伸びなくなったという解説をするテレビのコメンテーターなどがいますが、本当でしょうか。

 

今回は以下の本を参考に日本経済が30年間ほどんど成長しなかった理由について解説したいと思います。

 

『ザイム真理教』森永卓郎

 

日本経済の復活を望んでいる方は参考にしてください。

 

 

日本人の手取り収入は30年前より減っている⁉︎

驚愕の事実ですが、我々の手取収入は30年前(1988年と2021年の比較)に比べて減っています

 

下表の通り、日本の勤労者世帯の収入は31年前(2021年度時点)に比べて474万円から533万円へと12.5%増加しました。

(出典:ザイム真理教)

 

ところが、所得税と住民税を合わせた直接税は4万円増え、年金保険料や健康保険料等の社会保険料は41万円、111.3%も増えている。

 

税金と社会保険料を合計した税社会保険料負担は45万円、50.1 %増と収入を圧倒する伸びを示しています。

 

その結果、手取り収入は30年間で14万円、3.8%しか増えていない。

 

さて、ここで注意しておかなければならない事は、この期間で消費税率が0%から10% (食料品は8%)に引き上げられているということ。

 

消費税の負担増は、32万円に及んでいます。

 

つまり33年間で税金(住民税+所得税+消費税)は36万円、社会保険料は41万円も増えたことに。

 

消費税増税分も含めた税社会保険料を差し引いた世帯主収入の手取りは、384万円から366万円と18万円も減少しています。

 

これは、下表の国民負担率(租税負担率と社会保障負担率の合計)の推移を確認すれば明らか。

(出典:ザイム真理教)

 

現状で国民負担率はほぼ5割に達しています。

 

江戸時代には五公五民(収穫したコメの5割を年貢、5割を農民とした年貢率)で百姓一揆が発生したといわれています。

 

現状の日本は、国民が一揆を起こしてもおかしくないレベルといっていいでしょう。

 

日本は高負担・低福祉になっていないか?

よく、北欧の国の国民負担率は高く、日本はまだ低い方だという議論があります。

 

例えば、北欧の国デンマークの国民負担率は68%

 

しかし、医療費や教育費は無料。つまり、高負担・高福祉

 

高負担でも高福祉であれば、将来不安は少ないでしょう。

 

一方、日本では収入の5割を税と社会保険料で徴収されつつ、老後は医療費と介護費用とは別で2000万円を準備しろと言われるわれる始末。

 

更に教育費も収入と比例せず、どんどん上昇しています。

 

つまり、高負担・低福祉状態です。

 

日本は高負担でかつ将来不安があるという住みにくい国になっています。

 

 

日本経済がこの30年間ほとんど成長しなかった原因とは?

さて、ここまでの内容をもとに日本経済がこの30年間ほとんど成長しなかった原因について考えたいと思います。

 

一般的には、日本企業の下記のような点が原因だとされていると森永さんは指摘。

  • 日本企業がイノベーションを怠ったから
  • 終身雇用・年功序列処遇が時代に合わなくなったから
  • 企業が雇用を守るために賃金を抑え込んだから

 

しかし、前項の事実を考慮すれば、日本経済停滞の原因は明らか。

 

日本経済が成長できなくなった最大の理由は「急激な増税と社会保険料アップで手取り収入が減ってしまったからと森永さんは断定しています。

 

使えるお金が減れば、消費が落ちる。消費が落ちれば企業の売り上げが減る。そのため企業は人件費を削減せざるを得なくなるという悪循環が続きました。

 

そもそも日本のGDPの5割以上を消費が占めます。

 

その消費を抑えれば、経済を停滞させる手痛い影響が出ることになるのは明らか。

 

更に消費が減るだけでなく、若者が貧困化し、結婚したいが、できない人が増えました。

 

また、子供が欲しいが、生むことを諦める人も多くなっています。

 

つまり、日本経済が停滞した事が原因で少子化が進行しているということ。

 

一般的に考えられている少子化と日本経済停滞の因果関係が逆という事実が浮かび上がります。

 

 

失われた40年を回避するための方法とは?

森永さんの指摘した通り、日本経済が成長できなくなった最大の理由は「急激な増税と社会保険料アップで手取り収入が減ってしまったから」。

 

明らかに経済政策の失敗

 

例えば、消費税に関して言えば、GDPの5割以上を占める消費に10%もの罰金を課せば経済が停滞するのは自明

 

日本経済の低迷は「失われた30年」と表現されますが、このままでは「失われた40年」になることは間違いないでしょう。

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では、どうすれば「失われた40年」を回避することができるのでしょうか?

 

答えは簡単でこれまで行われきた経済政策と真逆を行えはいいだけ。

 

つまり、国民負担率を下げればいい

 

真っ先にやるべき事は、減税と社会保険料の減免

 

これまでの30年間は、増税と社会保険料引き上げで使えるお金が減った結果、経済がほぼ成長しなくなりました。

 

よって、これからは減税と社会保険料の引き下げで国民の使えるお金を増やせばいい

 

可処分所得を上げていく政策を行えば、消費が盛り上がります。

 

先述の通り、日本のGDP(国内総生産)は消費が5割を占めるので、消費が盛り上がればGDPも上がる。

 

GDPが上がれば、結果的に税収も上がるでしょう。

 

ここで問題となるのが、減税や社会保険料の減免の財源はどうするのかということ

 

日本には最高の財源である自国通貨建の国債があります

 

下記記事で解説した通り、自国通貨建ての国債のデフォルト(債務不履行)はないので、企業と個人がお金を十分使うようになるまでは国(政府)が呼び水としてお金を使うべきです。

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まとめ

日本経済が成長できなくなった最大の理由は「急激な増税と社会保険料アップで手取り収入が減ってしまったから

 

物価高に国民が苦しむ中、2024年6月に閣議決定された「骨太方針2024」には2025年度の基礎的財政収支(PB)の黒字化が明記されています。

 

今後はPB黒字化に向けてより緊縮的な政策が行われていくでしょう。

 

日本経済は新型コロナから完全に立ち直っていないにも関わらず、PBの黒字化など正気の沙汰ではありません。

 

ザイム真理教の洗脳から目を覚まして緊縮脳を持った政治家を一掃しなければ、日本国民の貧困化は止まりません。

 

そもそも税金には、景気の調整装置という重要な役割があります。

 

景気が悪い時には減税し、景気が加熱した時には増税する

 

この中学生や高校生が社会科の授業で習うような当たり前のことが日本では行われていません。

 

現在は、実質賃金が26ヶ月連続マイナス。消費も低迷している状態。

 

ということは、今は減税する時でPB黒字化などは、全く真逆の政策です。

 

財務省の暴走を許してはいけません。官僚の暴走を止めるのは政治家の仕事。

 

そして、その政治家を選ぶのが我々国民です。

 

一人でも多くの日本国民が目を覚まし、国民のために働かない政治屋は選挙で排除して正しい方向に政治を誘導する必要があります。

 

『ザイム真理教』森永卓郎