2024年11月に行われるアメリカの大統領選はトランプの当選確率が高いということで「ほぼトラ」と言われていました。
しかし、バイデンが大統領選挙からの撤退を表明。
『トランプ対ハリス』という構図になり勝敗が不透明な状態になっていますが、現状ではトランプが優位な状況は変わらず。
トランプが大統領に再選された場合、これまでのバイデンとは異なる政策を行うことが予想されているので、為替相場や日米の株式市場に大きな影響が出る可能性があります。
今年から新NISAで投資を始めた方の中には先行きを不安視している方もいるでしょう。
そこで今回の記事では、トランプが再選した場合に起こり得ることと、それに対する投資戦略を解説します。
あくまでも一個人の予想として参考にしてください。
なお、今回の記事の内容を聞き流したい方は以下の動画をご覧ください。
トランプが大統領に再選されたら円高株安になる?
トランプが大統領に再選した場合に行われる可能性のある政策は、以下の通り。
- 大規模減税の恒久化
- ドル安誘導(利下げ)
- 輸入品への関税強化
- 不法移民の流入制限
特にドル高円安についてトランプが問題視していると発言したという報道もありました。
ドル高は外国企業による米国向け輸出に有利に働くので、米国の中央銀行であるFRB(連邦準備制度理事会)に利下げ圧力をかけることによりドル安に誘導することが予想されています。
トランプの圧力でFRBが利下げを行うこととなれば、短期的には円高傾向が強まるでしょう。
現状の円安状態から状況が転換した場合、円キャリー取引の巻き戻しなど投機筋の円売りポジション解消で極端な円高に振れる可能性があります。
これまでの円安で恩恵を受けてきた日本の株式市場にはマイナスの影響があり、日経平均株価が大きく調整する可能性があります。
アメリカ大統領選による新NISAへの影響は?
為替が円安から円高傾向に振れた場合、新NISAで投資している我々にはどのような影響が出るのでしょうか?
新NISAでは、多くの方が「つみたて投資枠」で海外株式型のインデックスファンドを積み立ているので、円高の影響は避けられません。
つみたて投資枠ではS&P500やオルカンを積立購入している方が大半のはず。
S&P500は全ての資産をドルで運用、また、オルカンでも資産の6割超をドルで運用しています。
よって、円高の影響をモロに受けます。
仮に1万ドル分のS&P500を保有している場合、1ドル160円であれば円換算の評価額は160万円。
為替が円高に振れて1ドル120円になった場合、円換算の評価額は120万円。
為替の影響だけで40万円も評価額がマイナスになります。
短期的には円高で大きな評価損を抱える可能性があることを認識しておく方がいいでしょう。
なお、FRBが利下げした場合、米国株式市場にはポジティブに働き、株価が上昇する可能性があります。
S&P500やオルカンは、円高は評価損になりますが、株高は評価益になるので、お互いが相殺し合い日本人にはほぼ影響ナシというケースもあるでしょう。
トランプが行う政策による長期的な影響は?
トランプが行う可能性のある下記政策はいずれも米国経済にインフレを起こす可能性があるものばかり。
- 大規模減税の恒久化
- ドル安誘導(利下げ)
- 輸入品への関税強化
- 不法移民の流入制限
米国でインフレが再燃した場合、FRBによる再利上げというシナリオも考えられます。
再利上げにより米国株は下落するとともに、為替相場は円安ドル高になる可能性が高くなります。
その場合は、S&P500やオルカンは円安で評価益、米国株安で評価損ということで、影響が相殺されるケースもあるでしょう。
なお、2022年のようにFRBが急激な利上げを行った場合、米国経済がハードランディング(景気の急激な悪化)する可能性があります。
米国経済がハードランディングしてFRBが利下げすることになった場合、円高・米国株安というダブルパンチを喰らうケースも考えられます。
その場合は、円高と米国株安でS&P500やオルカンの価額が大きく下がることになります。
そうなれば、日本株も大暴落する可能性が高いでしょう。
何に投資をしていても大きな評価損を被ることを覚悟する必要があります。
トランプ大統領が誕生した場合の新NISA戦略は?
資産運用、特にインデックス投資をするのであれば、長期的な視点を持つことが重要。
誰がアメリカの大統領になろうとも、淡々とインデックスファンドの積み立てを継続すべき。
インデックス投資は長期で年利5%程度の利回りを狙う投資法なので、短期的な相場の変動を考慮する必要はありません。
短期的な暴落が発生した場合に最も重要なことは下記の通り。
- 積立を止めない
- 積み立てた資産を売却しない
- 積立額を減らさない
インデックス投資は長期的な世界経済の成長にお金を投じる投資法。
短期的な為替変動や株価変動に惑わされてはいけません。
為替相場も株式市場も短期の動きではなく、長期的な動きを重視する必要があります。
まとめ
トランプが大統領に返り咲いた場合、これまでのバイデンの政策を180度転換することが考えられます。
そのような場合、為替相場や株式市場に大きな影響が出る可能性があります。
私たち個人投資家にとって重要な事は、今後の為替相場や日米の株式市場が大きく変動する可能性があることを認識すること。
そして、新NISAでインデックス投資をしているのであれば、短期的な相場の変動に動揺することなく冷静な判断をする必要があります。
なお、正確に未来の相場変動を予測することは誰にもできません。
SNS等で、「絶対円高になる」や「株安確実」などの煽った情報発信に振り回されないように気をつけてください。