投資をする上で最も障害となるのが、元本保証がないことではないでしょうか。
日本人は元本保証が大好きで、元本保証に慣れ過ぎています。
少しでも元本割れの可能性があると、ギャンブルと同じと考えてしまう方もいます。
「投資はギャンブルと同じだからやらない」という方がいますが、投資とギャンブルを混同してはいけません。
また、投資初心者の方が失敗する原因の1つが、投資とギャンブル・投機を混同してしまっていること。
投資とギャンブルを混同し、投資だと思って投機的な取引をしている人が多いのも投資初心者の方の特徴。
投資とギャンブルや投機を混同してしまうと、大きな損失を被る可能性が高くなります。
そこで今回は、資産運用を始める際に重要となる投資・ギャンブル・投機の違いについて解説します。
- 1.ギャンブルとは?
- 2.投資とは?
- 3.投機とは?
- 4.投機は稼げないのか?
- 5.株式取引は投資なのか?投機なのか?
- 6.ビットコインなどの仮想通貨取引は投資?投機?
- 7.投資がしたいのか、投機がしたいのかを明確にする
- まとめ
1.ギャンブルとは?
ギャンブルと聞くと何を連想するでしょうか?パチンコ、競馬・競輪、宝くじなどが連想されると思います。
パチンコ、競馬・競輪、宝くじなどのギャンブルは主催者がまず運営料を差し引きます。
運営料が差し引かれた残りをギャンブルに参加した人達で分配。
例えば、宝くじでは主催者が約50%を運営費として差し引き、残りの半分を宝くじを買った人達で分け合うことになります。
つまり、ギャンブルは参加者全体でみれば、利益より損失の方が大きい「マイナス・サム」のゲームとういうことになります。
2.投資とは?
投資はギャンブルとは違い、主催者が存在せず、運営料は差し引かれません。
投資家は投資対象とする資産の価値が増えることに注目。
投資先の企業や国の経済が成長すれば、資産の価値は増え、投資家は配当を得たり、値上がり益を得ることができます。
よって投資は「プラス・サム」のゲーム。
理論的には、投資した方全員が利益を得ることも起こり得ます。この点がギャンブルと投資の大きな違いです。
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3.投機とは?
ギャンブル以外にも「投機」という言葉を聞いたことがある方も多いと思います。
「投機的な取引だ」というような使い方をされます。
投機とは、投機対象とする資産の価値が増えるかどうかには注目せず、資産価格の変動に注目し、利益を得ることが目的となります。
価格の上昇や下降で利益を得る株式のデイトレードや為替のFXトレード(証拠金取引)などが投機的な取引に該当。
投機は、誰かの利益がほぼ誰かの損失になる「ゼロ・サム」のゲームです。
4.投機は稼げないのか?
投機は、誰かの利益がほぼ誰かの損失になる「ゼロ・サム」のゲームと聞くと、投機的な取引は悪で、絶対に儲かることはないと思うかもしれませんが、そんなことはありません。
例えば、株式のデイトレードは投機的な取引。
しかし、株式のデイトレードをやり、資産を大きく増やしている方も大勢います。
投機的な取引でも理論を学び、リスクをしっかりとコントロールすれば、資産を増やすことはできるでしょう。
しかし、短期間で大きな利益を狙うような投機的な取引は、大きな利益が期待できる反面、大きな損失を被る可能性も高いので、初心者には向きません。
5.株式取引は投資なのか?投機なのか?
株式の売買は投資なのでしょうか?投機なのでしょうか?
株式投資という言葉があるので、株式の売買は投資なのではないかと考える方もいると思いますが、投機の部分で書いた通り、株式のデイトレードは投機的な取引に該当します。
つまり、株式取引は売買のし方によって、投資的にも投機的にもなります。
この点は、初心者が混同してしまう部分。
実は、私も株式の取引を始めた頃は、デイトレード的な取引を投資だと思っていました。
6.ビットコインなどの仮想通貨取引は投資?投機?
「ビットコイン投資」という言葉が一時期話題になりましたが、この言葉こそ投資と投機を混同している最たるものです。
「ビットコイン」などの仮想通貨(暗号資産)自体は一切、利益を生み出すものではなく、ビットコインで収益を出すのであれば、価格の変動で稼ぐしかありません。
つまり、ビットコインは投資の対象ではなく、投機の対象ということ。
ビットコイン取引では、短期間で資産を1億円超にした「億り人」が話題になりましたが、その裏側では1億円を損した人がいるという現実を知る必要があります。
投資と投機の違いを理解できないと、投資だと思って行った行為が投機的で、大きな損失を被り、投資はギャンブル的でもう懲り懲りという勘違いが発生。
投資と投機の勘違いは投機的な取引で損失を被った方だけではなく、それを近くで見ていた方も巻き込んで、投資はギャンブルであり、危ないという考え方を生んでしまいます。
下記記事の「トイレーダー」のようにならないように、投資と投機の違いを理解する必要があります。
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7.投資がしたいのか、投機がしたいのかを明確にする
金融庁の報告書によって「老後2000万円問題」が話題となり、老後のお金に不安を持った方が多いと思います。
老後のために何かしないとマズいと思った場合、イメージしているのは「投資」でしょう。
老後に向けてじっくりとお金を育てていきたいという方が「投機」に手を出したら、想定外にリスクを取り過ぎて大きな損害を被る可能性が高いことが想像できます。
資産運用を始める段階で、ご自身は「投資」がしたいのか、「投機」がしたいのかをはっきりさせることが大切です。
まとめ
日本人は、金融リテラシーが低いと言われています。
その理由は、額に汗して稼ぐお金は尊くて、不労所得的に得る投資の収益はよくないものだという発想が日本にあるからだと思います。
よって、投資で稼ぐというと、何か悪いことをしているように思われ、日本においては投資教育が避けられてきたように思います。
しかし、投資もギャンブルや投機と同じように元本割れのリスクがあります。
投資について学ばずにお金を投じれば大きな損失を被る可能性があります。
よって、投資も脳に汗をかいて行うものでリスクを負いながらお金を得るわけですから、投資で得るお金も労働で得るお金と同様に尊いものであるはず。
これからは日本人にも上記のような発想が必要になるでしょう。
「老後2000万円問題」を解決するには、やはりお金に働いてもらうことも重要で、どのように投資すれば、お金が効率よく働いてくれるかを考えていかなければなりません。
今後は日本でも投資と投機・ギャンブルの違いを理解し、じっくりと資産を増やしていくような考え方を持つことが重要でしょう。