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【新NISA】投資初心者が成長投資枠を活用する際の3つの注意点


2024年からスタートした新NISA制度は、つみたて投資枠120万円成長投資枠240万円と非課税で大きな額の投資が可能です。

 

つみたて投資枠は、金融庁が一定の基準で選んだ投資信託のみが投資対象なので、初心者向けといってもいいでしょう。

 

一方、成長投資枠は個別株式や約2000本の投資信託が購入可能で、つみたて投資枠よりも幅広い選択肢が広い。

 

選択肢が広い反面、初心者がこの枠を最大限に活用するためには、いくつかの注意すべき点があります。

 

今回の記事では、成長投資枠を活用する際の注意すべきポイントを3つにまとめて解説します。

 

 

つみたて投資枠と成長投資枠の違いとは?

まずは簡単につみたて投資枠と成長投資枠の違いを「年間投資枠」「非課税保有限度額」「投資対象商品」の観点で解説します。

出典:新しいNISA : 金融庁

 

年間投資枠

年間投資枠は、つみたて投資枠で120万円まで。投資方法は積み立て購入のみです。

 

一方、成長投資枠では240万円まで投資が可能で、投資方法に制限はありません。

 

両枠を併用すると、年間で最大360万円まで投資することが可能です。

 

非課税保有限度額

非課税保有限度額は一人1800万円。

 

うち、成長投資枠で活用できるのは1,200万円です。

 

一方、つみたて投資枠で活用できるのは非課税保有限度額と同じ1,800万円となっています。

 

投資対象商品

つみたて投資枠では、長期・積立・分散投資に適していると金融庁が認める一定の投資信託が対象となっています。

 

一方、成長投資枠では投資信託はもちろん、上場株式にも投資が可能で、つみたて投資枠よりも投資対象商品が広くなっています。

 

次項以降で、投資初心者が成長投資枠を活用する際の3つの注意点について解説します。

 

 

注意点①アクティブファンドや個別株を購入する必要はない

成長投資枠ではリスクを取って個別株やアクティブファンドに投資すべきだと思っている方がいます。

 

成長投資枠だからといってアクティブファンドや個別株に投資すべきというわけではありません

 

アクティブファンドを一概に否定するつもりはありませんが、投資初心者の方は成長投資枠でもつみたて投資枠で購入できるインデックスファンドに投資することをおすすめします。

www.fpinv7.com

 

多くの方にとって個別株などの売買を繰り返すよりもインデックスファンドを長期保有する方がリターンが高くなるでしょう。

 

資産運用に慣れてきて、個別株やアクティブファンドに興味が出るようであれば、そこから投資することを検討しても遅くはありません。

 

 

注意点②一括投資する必要はない

成長投資枠では積立投資ができないと思っている方がいますが、一括投資だけでなく投資信託の積立投資も可能です。

 

成長投資枠だからといってムリに一括で投資する必要はありません。

 

成長投資枠は年間240万円まで投資が可能なので、毎月20万円ずつ積み立てたり、そこまでの資金がなければ、毎月10万円などの月20万円未満の積立も可能です。

 

 

注意点③運用を金融機関任せにしない

成長投資枠での運用を金融機関にお任すると手数料稼ぎのカモになる可能性があります。

 

つみたて投資枠で購入できる投資信託には、販売手数料ゼロ(ノーロード)で信託報酬は一定水準以下などの条件があります。

 

しかし、成長投資枠で購入できる投資信託には手数料の条件はありません

 

ネット証券で全世界株式といえば、『eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)』(オルカン)。

 

しかし、銀行や証券会社によってはオルカンの取り扱いはなく、『eMAXIS 全世界株式インデックス』を選択せざるを得ないケースもあるでしょう。

 

上記2つの投資信託の信託報酬は、下記の通り10倍の差があります。

  • eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)年率0.05775%
  • eMAXIS 全世界株式インデックス年率0.66% 

 

上記くらいの差であれば、銀行や証券会社は人件費がかかっているので許せる範囲かもしれません。

 

しかし、テーマ型の投資信託で販売時手数料あり、信託報酬も2%超の商品を買わされる可能性もあります。

 

更に、新NISAは資産を売却すれば非課税枠が復活するので、購入時手数料目当ての回転売買を狙ってくる営業マンもいるかも。

 

そもそも成長投資枠を用意した理由について考える必要があります。

 

投資が仕事でも趣味でもない一般投資家のためであれば、つみたて投資枠のみにしてインデックスファンドを積立投資できるようにすれば十分。

 

しかし、それでは手数料が低すぎて金融機関(特に銀行や対面販売メインの証券会社)が儲かりません。

 

金融機関だけでなく、運用会社も低コストのインデックスファンドばかりに資金が流れれば、儲けが少なくなるどころか場合によっては赤字になる可能性も否定できないでしょう。

 

金融機関も運用会社も手数料の高いアクティブファンドを購入してもらわないと商売にならない。

 

よって、成長投資枠を設けて手数料を稼げる個別株やアクティブファンドを買えるようにしたという側面は否定できないでしょう。

 

 

まとめ

投資初心者が成長投資枠を活用する際に注意すべきなのは下記3点。

  • アクティブファンドや個別株を購入する必要はない
  • 一括投資する必要はない
  • 運用を金融機関任せにしない

 

なお、成長投資枠で何を選んでいいか分からないという方はつみたて投資枠」の対象ファンドから選ぶのがおすすめ

 

具体的には、下記のようなファンドがおすすめです。

  • eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
  • eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
  • eMAXIS Slim 先進国株式インデックス

 

投資初心者の方は無理につみたて投資枠と成長投資枠で購入する商品を分ける必要はありません。