長らくデフレが続いてきた日本を物価高騰が直撃している中、三菱UFJ銀行が振込手数料の引き上げを発表しました。
少しでも生活費を節約して物価高を乗り切りたいという方も多いでしょう。
しかし、銀行は手数料を引き上げる傾向にあります。
なぜ、銀行は手数料を引き上げる傾向にあるのでしょうか。また、手数料引き上げを回避する方法はあるのでしょうか。
今回の記事では、手数料引き上げの内容とその背景、また、手数料引き上げを回避する方法について解説します。
- 振込手数料を最大990円に引き上げ
- 通帳発行手数料とは?
- 口座管理手数料とは?
- 口座維持手数料導入の可能性は?
- 銀行が手数料を引き上げる要因とは?
- 大手都市銀行の手数料引き上げを回避する対策は?
- まとめ
振込手数料を最大990円に引き上げ
2023年4月27日、三菱UFJ銀行は振込手数料の引き上げを発表しました。
引き上げは2023年10月2日からで、下図の通り振込手数料は振込額に関係なく、店舗窓口での他行あてが990円、同行あてが880円。
また、ATMで現金を振り込んだ場合、他行あてが880円、同行あてが550円になり、最大500円超の大幅値上げ。
ただし、ネットバンキングの振込手数料は据え置きです。
(出典:三菱UFJ銀行)
今回の手数料引き上げから店舗やATMの利用は控えてネットバンキングを利用して欲しいという三菱UFJ銀行のメッセージを強く感じます。
三菱UFJ銀行では、今回の振込手数料の引き上げだけでなく、下記の通り通帳発行手数料や口座管理手数料を導入しています。
通帳発行手数料とは?
通帳発行手数料とは、通帳を発行する際に徴収される手数料です。
2022年4月1日以降に新規開設した普通預金口座(含む総合口座)で紙の通帳を利用す場合、「紙通帳利用手数料」年間550円(税込)がかかります。
個人の場合、Eco通帳(インターネット通帳)を利用すると紙通帳利用手数料はかかりません。
Eco通帳は、紙の通帳の代わりにスマートフォンまたはパソコンでいつでも入出金明細を確認できます(無料)。
なお、通帳発行手数料は三菱UFJ銀行以外でも導入が始まっています。
口座管理手数料とは?
口座管理手数料とは、2年間取引(入出金)のない休眠口座(不稼働口座)から徴収されるもので、既に三菱UFJ銀行以外の銀行でも口座管理手数料の徴収は行われています。
口座管理手数料は、年額1,200円(消費税別)。
紙の通帳には1つの口座に、年間200円の印紙税がかかります。
また、口座管理にかかるコストはマネーロンダリング(資金洗浄)対策やサイバーセキュリティー対策などで増加傾向。
そのコストを預金者に転嫁するような形です。
口座維持手数料導入の可能性は?
今後は銀行に口座を持っているだけで手数料を取られる「口座維持手数料」の導入へと進む可能性もあるでしょう。
口座維持手数料とは、その名の通り、銀行が口座を維持するための費用を預金者から徴収する手数料。
口座維持手数料が導入されれば、預金口座を持っているだけで手数料としてお金を取られることになります。
実際、私たちの預金口座を維持するためには、通帳にかかる印紙税(200円)やデータ管理料など、一口座当たり年間2,000円~3,000円 のコストがかかるそうです。
上記のような費用(コスト)を預金者に負担させるのが「口座維持手数料」。
私たち預金者から見れば、預金残高から手数料を差し引かれるわけですから、マイナス金利のような形になります。
現状のような低金利の状態であれば、預金に付く利息を口座維持手数料が上回ることになるので、銀行に預金すると、お金が減ることになってしまいます。
銀行が手数料を引き上げる要因とは?
なぜ、銀行は各種の手数料を引き上げるのでしょうか。
銀行側は、キャッシュレス化の進展で窓口やATMの利用者が減る一方、人件費やシステムを維持管理するためのコストや詐欺やマネーロンダリングなどの犯罪対策の負担も重くなっているためだとしています。
しかし、最も大きい要因は本業の収益が上がらないことでしょう。
銀行の収益が上がらない理由は、貸出で利ザヤ(貸出金利から預金金利を差し引いた利益)が取れなくなったからです。
銀行が利ザヤが取れなくなった理由は、日本銀行の金融緩和の影響で低金利が続いているから。
日本銀行(日銀)の当初の目論見は、金融緩和によって経済を活性化させ、景気を浮上させるところにありました。
日銀の目標は2年で2%の物価上昇を達成することでした。
しかし、日銀が当初目標とした2%の物価上昇が達成できず、達成年限を何度も先送りし、異常な低金利状態が約10年間も続いています。
日銀の総裁が黒田さんから植田さんに代わりましたが、日本の経済状況を考えるとこれからも緩和政策を続けざるを得ないでしょう。
現状のような厳しい環境から、駅前の一等地に店舗を持つ大手都市銀行などは、店舗の削減や手数料の引き上げで預金者をネットバンキングへ誘導しつつ、経費削減を目指している状態。
また、投資信託の販売、保険の販売、コンサルティング(M&A、事業承継など)で手数料収入を稼ぐ「手数料ビジネス」も拡大しています。
大手都市銀行の手数料引き上げを回避する対策は?
インターネット銀行の利用が手数料引き上げを回避する対策の1つです。
これからも大手銀行の店舗削減や手数料引き上げなどは止まらないでしょう。
日本の経済状態を考慮すると日銀の金融緩和政策による低金利が継続し、銀行の本業が儲からない状態が続く可能性があります。
大手の銀行と付き合いがあることにより、投資信託の販売など手数料ビジネスの餌食にされる可能性もあります。
そもそも、クレジットカードなどのキャッシュレス決済を利用して現金の利用を極力さける。
どうしても現金が必要な時はネット銀行を利用する。
私もSBI新生銀行や住信SBIネット銀行など複数のネット銀行を利用していますが、コンビニなどのATMを24時間365日、無料で利用しています。
1ヶ月の回数に制限はありますが、振込についても手数料無料で利用可能。
私はネット銀行などを利用することにより、ATM手数料や振込手数料はここ20年ほど一度も払ったことがありません。
まとめ
大手都市銀行では、下記のように手数料を引き上げる傾向があります。
- 振込手数料の引き上げ
- 通帳発行手数料の導入
- 口座管理手数料の導入
日銀の金融緩和政策が続く限り、銀行は本業の儲けが削られるので、店舗の削減や手数料の引き上げを続けざるを得ないでしょう。
個人でできる対策としては、キャッシュレス化で現金の利用をさけつつ、インターネット銀行の口座を開設し、各種手数料を無料にすることです。
大手銀行などもネットバンクへ誘導していく流れが加速するでしょう。
しかし、法人は別として個人では大手銀行でわざわざネットバンクを利用する必要性を感じません。